2021年8月31日火曜日

インターナショナル・スクールの幼児部と一般の保育園の比較

都内某区の保育の現場で驚いたこと。それは、インターナショナル・スクールに通う幼児の多さです。普段は一般の保育園・幼稚園に通っている子供でも、何らかの英語教室に参加している場合が多く、ベーシックな単語の発音はネイティブ並みです。
 
私は、外国人が経営する某インターナショナル・スクールで勤務していたことがあります。ここは、スクールバス等の代金も含めると、1人あたり年間150200万円ほどかかります(兄弟割引あり)。それでも幼児英語教育熱が大変に高い今、子供の入学を希望する保護者は大勢います。

今回は、このインターナショナル・スクールの幼児部と以前お世話になった一般の保育園を比較してみました。 

1)インターナショナルスクールの幼児部

(保育園ではなく)幼稚園スタイルです。

   放課後にデイ・ケア(追加料金)で18:00までは学校に残ることは可能です。その場合は、帰りのスクールバスは使用できないので、保護者が迎えにくる必要があります。

ー  給食はありません。学校でケータリングのランチを毎朝注文することは可能ですが、利用する人は僅かで、ほとんどは手作り弁当を持参していました。

ー  各教室には最新のプロジェクター・システムがあり、毎日の活動に映像を使用しています。

ー  3歳のクラスからパソコン教室があり、ゲームを通してアルファベットなどを学びます。

ー  各担任にパソコンが1台貸し出されており、学校用の記録は全てパソコン入力です。

ー  保護者との連絡も、オンライン・ベースです。保護者との通信に使用する(保護者が喜びそうな)記録写真を、クラス内でしょっちゅう撮影する先生もいました。

ー  教室で手作りのおもちゃ等は見かけたことがありませんでした。

ー  既製品のおもちゃは、一般の保育園とほぼ同じものを使用していました。

ー  先生が机の上に座って授業をするのは普通のことです。

ー  床(ラグ)に座るときは胡坐がスタンダードです。

ー  先生の服装は完全自由。私もスカートで出勤していました。

ー  子供は制服がありますが、髪型もアクセサリーもネイルも自由です。

ー  発表会等の衣装は外注、保護者がその費用を別途負担。または、保護者が揃える。 

2)日本の一般の保育園

ー  朝早くから夜遅くまで預かってもらえる園もあります。

ー  給食があるので、保護者がランチやおやつを用意する必要はありません。

ー  保護者との連絡は、手書きの連絡ノートに毎日詳細が記載され、さらにお迎えの際にも報告がなされます。

ー  牛乳パック等を使用した手作りのおもちゃがいっぱいあります。

ー  教室に映像機器やパソコンはありません

ー  保育士が業務でパソコンを使用することは基本ありません。

ー  保育の記録は全て紙ベースでの対応です。

ー  保育士が座る時は、椅子がない場合は床の上に正座をするのがスタンダード(足を崩すのは許容範囲)のようです。机等に座るのはもってのほか。(床に座る場合は、正座が一番安全な座り方なのは確かです。子供が不用意に脚に乗ってきても怪我をすることがないので。)

ー  保育士に対する服装規定がとても厳しいです。「これはダメ」がとても多い。制服にエプロンやポロシャツを支給する園も多いようですが、支給されない靴下やズボンにもいろいろと指定がありました。*服装規定のレベルは園によってかなり異なるようです。

ー  子供は制服はありませんが、服装にはいろいろと規定があります。活動時の事故を防ぐのが主な目的のようです。

ー  発表会等の衣装や小道具は、全て保育士が作成していました。


 私はインターナショナル・スクール勤務の後に、初めて一般の保育園勤務を経験したのですが、その文化の差に驚きました。(「基本正座!」と園長に注意された時は、正直「無理。。」と思いました。それ以外にも、インタずれしていた私は、細々と様々な指摘を受け、だんだん気が重くなっていきました。。。)

一般の保育園は、「昭和の日本の常識や美徳」を今も継承し続けている印象です。日本は保育園に限らず、「これはダメ」が多くて、息苦しさを感じます。最近で出会った、高校卒業したばかりの日本とイギリス人のハーフの子が「日本の学校は軍隊みたい」で「学校はイギリスのほうが絶対いい」と言っていたのが思い出されます。

また、「インターナショナル・スクール=教育熱心な富裕層の子供一般の保育園=その他の子供」という図式も見られます。これは単に英語のみならず文化的な違いの中で、各層の子供が幼児期から育っていくことを意味するように思えます。

インターナショナル・スクールもいろいろあって、日本人経営でほとんど(または全員)が日本人の子供の(実質、ただの「英語学校」)場合は、上記のような文化差はないのかもしれません。外国人の多い「本当の」インターナショナル・スクールは、両親とも日本人の場合は入れないところもあります。

今回は、限られたサンプルの中での私の体験に基づく考察となっています。ご意見やその他情報等がりましたら、コメントに記載していただけると嬉しいです。

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2021年8月30日月曜日

保育士不足はなぜ?(保育士を取り巻く厳しい現実)

「子供がなりたい職業ランキング」にも10位以内で登場する、人気が高い職業「保育士」。かわいい天使たちに囲まれた幸せな毎日。。。 しかしその現実は、甘くない。

今回は、保育士を取り巻く厳しい現実を私の実体験を元に振り返りながら、なぜ保育士不足なのか?について考察していこうと思います。
201910月から始まった3歳以上の保育園の無償化はもちろん大きな要因だと思われますが、保育士不足自体はそれ以前からの問題です。ある先生の話では、統計上の保育士資格保有者の数は十分だけど、保育士を続けない人が多いことが現在の保育士不足の原因なのだとか。それでは、なぜ保育士を続けようと思えなくなるのでしょうか? 

1)給与水準の低さ

保育士のパート/バイトの時給は、せいぜい最低時給+数百円がいいところ。(派遣の場合はもっと高いのですが、派遣は世帯の最低収入等の資格条件のため、私のように限られた日数のみ勤務を希望の場合は難しい)。国家資格要の仕事に対する対価とはとても思えないのですが。。。日本が如何に保育士を遇しているかをよく表していると思います。この点だけでも改善すれば、保育士に復活する人が増えて、保育士不足はかなり解消される気がします。

2)何でもやって当然?

保母さんが前身の保育士。保母さんは家庭のお母さんの代わり?、だから家事で主婦が普通にやることは保育士もやって当然、という認識なのでしょうか。普段のトイレ掃除も大量のゴミ出しも日常的に保育士がやって当然、が保育業界では一般的な考えだという印象です。(公立系の施設でない限り、用務員さんを雇っていない園が多いようです。)苦労して国家試験をパスした誇りある保育士、、のイメージには程遠い待遇です。

これは以前外資系企業に勤務していた私としてはちょっとショックな事実でした。一般企業に勤めるスタッフにこのような扱いをしたら、本気で訴えられそうです。。

3)シフト制での勤務(保育園の場合)

働く保護者を支えるために、多くの保育園は朝早くから夜まで開業しています。その為、正規スタッフは基本シフト制での勤務となります。土曜日も開園している園も多くあります。シフト制での生活が困難で、体調を崩して3カ月で退職したという方もいらっしゃいます。

4(低待遇にしては)責任が重い

小さな子供の命を預かる仕事、責任は重大です。保育中の子供に、ちょっとでもアザや傷がついてしまったら、保護者の引き取り時に説明が必要になります。また傷やアザのレベルによっては、記録に残したり会議中に他のスタッフと共有したりする必要があり、いろいろな意味でプレッシャーになります。自分の子供なら「ちょっとした怪我くらい子供なら当たり前」で済むところが、仕事で他人の子供を預かるとなると、そうはいきません。

5人間関係が大変

どんな業界でも、人間関係は大変だと思います。しかしその中でも看護師や保育士の人間関係の大変さは有名なようです。「女性ばかりの職場だから」という意見もあるようですが、以前勤務していた男性保育士さんが比較的多めの保育園も、職場の人間関係はずいぶん大変でした(若い保育士さんは恋愛関係が絡んで、よけい大変そうでした。。)

保育士は、ストレスがたまりやすい環境にあると思います。大勢の子供の安全を常に見守りながらそれぞれを適切に世話をするだけでも大変なのに、行政や会社からは低待遇、労働条件は過酷、保護者にも気を使わなくてはなりません。これらによるストレスが、無意識のうちに同僚に対して発散されているのではないでしょうか。ストレスが軽減されて精神的に余裕ができればスタッフ間の関係も自ずとよくなり、職場の雰囲気もよくなり、離職率も下がるのではないでしょうか。

私が知る限りでは、保育士さんの離職の原因の大半は人間関係のようです。給与水準が低いことはある程度承知済みで保育士になる人が多く、また子供の問題で悩むのにはまだ耐えられます。しかし無駄な人間関係に苛まれるというのは、やりがいもなく、馬鹿らしくなってしまいます。人事が頑張ってリクルートしても離職する人が多いので(病んで離職する人も結構多い)いつも保育士不足、その結果残っている保育士の負担は増え、ストレス度は益々あがる、という悪循環が見られます。


特別に大切な幼少期の多くの時間を保育施設で過ごす子供たちにとって、保育士はとても重要な存在です。その保育士がストレスまみれの状態では、日本の未来を創り出す子供たちにも悪影響が出て、更には日本の未来にも悪影響が出るのではないでしょうか。保育士の環境と待遇の改善が望まれます。

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[保育士日記 38] インターナショナル・スクール ~ 「生きる力」?

都内の某インターナショナル・スクールの幼児部に参加する機会がありました。 ここは、以前ご縁があった外国人が多いスクールとは違い、生徒は日本人のみ(若干アジア系外国人が含まれる)。メインの先生は外国人で教室内は全て英語、というタイプで、「英語学校」という表現がより適切かもしれません...